・GOEの幅が±3から±5に。補正は一律+1で+10%。コレオのみ+18%
・1.1倍の後半ボーナスが入るのはSP最後の一つ、FS最後の三つのみ
・二回飛べる四回転は一種のみ。実質もう一種は三回転限定に
・コレオの基礎点、GOE幅が上昇
・SPでの単独ジャンプ前のステップが不要に
・男子のみ演技時間が4:30→4:00に
・男子のみFSのジャンプが8→7に
以上が採点改正の要点です。
では一つ一つについてもう少し細かく。
・ジャンプ基礎点が下方修正
4A15.0→12.5
4Lz13.6→11.5
4F12.3→11.0
4Lo12.0→10.5
この四つは実際に飛ぶ事を想定しておらずに
慌ててごっそり引いたようにも。
4S10.4→9.7
4T10.3→9.5
ちょっとだけ4Sと4Tの差が広がりました。
3A8.5→8.0
3Lz6.0→5.9
3F5.3
3Lo5.1→4.9
3S4.4→4.3
3T4.3→4.2
2A3.3
3Aも大きく減りましたが
それでもなお3Lzとの差はあります。
男子は二つ飛ぶと基礎点だけで4.2に。
女子の3A挑戦は減るかも…と思ってましたが
そうでもない模様。
・GOEの幅が±3から±5に。補正は一律+1で+10%。コレオのみ+18%
GOEの採点基準が7段階から11段階になり、
点数幅そのものも大きくなりました。特に高難度ジャンプで。
例えば4Lzの場合、
9.60~13.6~16.6
だったのが
5.75~11.5~17.25
になります。
GOE5を取れた場合は旧採点より出ますが
転倒だと問答無用で-5、ごっそり引かれて3Lz以下に
これは少し崩れた4T(9点前後)と
転倒しても回りきった4Lz(転倒-1含め8.6)の点数が
殆ど同じだったので分かる改正です。
4Lz、4F、4Loは転んでも回りきれば十分な点が出てしまう状態でした。
更にジャンプGOEの認定要件として
1 高さおよび距離が非常に良い
2 踏切および着氷が良い
3 開始から終了まで無駄な力が全く無い
更にこれらをすべて満たした場合のみ
4 ジャンプの前にステップ,予想外または創造的な入り方
5 踏切から着氷までの身体の姿勢が非常に良い
6 要素が音楽に合っている
が認定されると定められました。一つでGOE1になるとの事。
ただ、具体的にどれだけ123を満たせば
456も評価基準になるのかはまだ手探りの状況です。
一方で「空中姿勢の変化」や「ディレイ」はなくなったので
例えば手を上げてのジャンプ、通称タノジャンプは
それだけではGOEを算出しない事になりました。
でも美しいタノジャンプに定評があった選手達は問答無用で今も飛んでます。
・1.1倍の後半ボーナスが入るのはSP最後の一つ、FS最後の三つのみ
特にジャンプを全部後半に回す女子が登場し
プログラムがいびつになっていた状況に待ったをかける改正です。
このSP最後一つ、FS最後三つというのがなかなかの曲者で
コンボに後半ボーナスを入れようとすると最後にするしかなく
リカバリーが効かなくなります。
例えば前半3A、後半4S3T、4Tの構成なら
これまでは4Sで転倒しても4T3Tを飛べれば傷は浅くなりましたが
現行ルールだと3A/4T、4S3Tの構成にしないと+3Tのボーナスは無し。
なので後半クワドコンボは一発勝負になります。
しかも転倒してしまうとコンボが入らず基礎点3/4かつGOE-5となるので
極めてハイリスクになりました。
おまけに後半ボーナスはGOEに反映されないのでリターンも減るという
・二回飛べる四回転は一種のみ。実質もう一種は三回転限定に
今までは4T二つ、4S二つ、3A一つの構成が出来たのですが
以後これはできなくなります。
FSで二回飛んでいいジャンプは二種類のままなので
もう一種類は必然的に三回転のどれか、という事になります。
男子は単純に点数の高い3A二つを選択する…とも思っていましたが
3Lz二つ、3F二つで挑んでいる選手も現在かなりいます。
実の所3Aを他の三回転と同じように飛べる人って限られてますし。
結果的に、特に男子では
四回転を飛べてかつ3Aが得意な選手がこの改正の恩恵を受ける事になります。
3Aの重要性がこれまで以上に増したと考えてもいいでしょう。
・コレオの基礎点、GOE幅が上昇
基礎点が3.0→4.0
GOE5だと4.1→5.5に
GOE0とGOE5の点差は1.1→1.5になります。
実の所GOEマイナスのコレオってA級大会で見た事ないので
そんなに大した改正ではないです、点数だけ見れば
ジャンプの基礎点が減った分ちょっとだけ比重は増えましたが
とはいえコレオはフィギュアの華
5を取れたであろうミーシャ・ジーが引退した今
誰が最初に最高点を取るか、皆が注目しています
・SPでの単独ジャンプ前のステップが不要に
今まではこのコネクティングステップとも呼ばれるものが必要で、
無しだとGOEが大きく引かれる為に、
ステップからの四回転が出来ないとSP2クワドの強みが薄かったのですが
改正で必須ではなくなりました
GOE要件その4を満たすので利点は残ってますが。
・男子のみ演技時間が4:30→4:00に
・男子のみFSのジャンプが8→7に
これは単純な時間短縮、
及びそれに伴う救済措置
更には得点におけるジャンプの比率減少も兼ねているのだそうです。
が、最後のジャンプにかかる時間はせいぜい5秒
なのに30秒も縮まってしまい
要素の間で息を整える時間がバッサリ削られた為に
非常に体力への負担が大きくなっています。
またこれのせいで代名詞として知られていた技、
例えば宇野昌磨のクリムキンイーグル、
ジェイソン・ブラウンのスパイラルなどを入れる時間が無くなってしまい
総じてファンの間では不満の大きい改正です。
4:15とかに出来ないもんですかね…?
具体的にどんな採点になるのか分からないので
あくまで個人的にですが
要点をまとめてみると
男子だと3Aが上手いクワドジャンパーが有利に
高難度ジャンプはGOEを取れないと相対的に弱体化、
かつ転倒でも回りきれば得点源とはいかなくなった
ジャンプ以外の得点はそんなに増えていないものの、
相対的には比重が大きくなった
TESの天井が低くなるのでPCSの比率が増大
といった所でしょうか。
まあ元々、トップクラスの選手は全部出来るオールインワンが多かったので
そんなに影響はしなさそうです。
3A苦手で多種クワド持ち、ただしGOEは多くなかったネイサン・チェンが
直撃を受けるかとも思ってましたが
今季で3A急成長、更にPCSもガッチリ取って対応してきました。
とはいえ、繰り返しになりますが
具体的にどんな採点がされるのかは未だ不透明です
今季は特にエッジエラーや回転不足の判定がキツくなっている模様で
何人かが大きく煽りを受けています。
そして、最後にPCSに関して
転倒などの大きなエラーが一つあった場合は10を出せない
二つ以上あった場合はSS、TR、COに9.5、PE、INに9を出せない
と規定されました。
つまりPCSでごっそり点を取れるトップクラスの選手達でも
二つ転倒すると絶対にSP46.5、FS93を越えられなくなるので
天上の戦いにおいては決定的な致命傷になります。
まあ、元々二つ以上転倒した選手に
そんな派手なPCSが出たケースはそんなになかったのですが。
さて、しかしどうなるでしょう
これから実際の演技と照らし合わせて
採点基準を修正しないといけないので
ぶっちゃければやってみないと分かりません。