2019年2月24日日曜日

火星年代記経由で華氏451°を読んだんだ

火星年代記経由で華氏451度を読みました
なので展開は大体予想がついて、その通りになったのですが

現代社会はこれを書いた側、編集した側がポリコレソードをぶん回す
昇火士になってしまったというクソみたいな現実を顕にしてしまった
そして彼らが崩壊するに任せた都市の住人が生きる為に殴り返してきた

この本徹底的に批判しないといけんかも

『火星年代記』と『華氏451度』だけでは
ブラッドベリの考えは分からないんでしょうが

民主主義国家では誰に投票したかを問わず
万人が選挙結果に責任を負う
しかもそれで人が大量に生きたり死んだりする

ブラッドベリに限らず「知識人」の方々には
その自覚が決定的に欠けている事が
今致命的に暴かれつつある

はっきり言えば 『華氏451度』を書いたような連中の無責任さが
無意識に億単位の人間を踏みにじったのが今の世界です

そして踏みにじられた人間が
選挙を以て正当に殴り返したのがトランプ政権だと私は認識しています

この無責任さが典型的に現れているのがベイティーの扱いだと思います
「ベイティーは死にたがっていた」?
ふざけんなお前が殺したんだよ、お前の殺意で!!

「知識人」は自分達が全ての責任から逃避できると思い込んでるようですが
残念ながら神でさえそんな事は許されない
欺瞞が腐敗を生み出し
それが暴かれた

奴らは死体だ
生きている人間を阻む事はできない!

まあ、本そのものに価値があるわけではない
それを読む人間に何かを惹起する事はあるから
保管しておかないければいけないけれど

という事はブラッドベリ自身にも自覚があったようですが
新訳では258Pとかの描写を読む限り

パートナーとか連れ合いに関する価値観のズレも感じました
完全に道具だったミルドレッドが哀れでならない

結婚するのが当たり前ではあるけれど
相手に人格を認める必要はなかった
そんな古い唾棄されるべき価値観が無批判に使われているのは今となっては
いやモンターグも同じ哀しき道具なんですが

結婚が良くも悪くも身分証明になる時代があった
相手のいない人間は不完全扱いされた
男にとっても女にとっても
その弊害が出てきて、婚姻の意義が問い直されているこの時代に
無批判に伴侶を小道具扱いした本が読まれれば「うえっ」ともなる

古い作品を今の基準で断罪するのは馬鹿のやる事とはいえ

いやー、何というか こういう類の読書経験をするのは初めてかも
 広く世界に讃えられた作品が
現実世界にその欺瞞を暴かれる
こんな事もあるんだなって

私は結構本を読むのも好きですが
スポーツファン(主にやきうとフィギュア)でもあり
いっぱい食べるのが好きで
アニメやゲームにどっぷり浸かった人間なので

哲学書や文学からのきらめきは
試合や食事、遊びの中
世の中の何処にでも無限に存在する
本だけが特権を持っている訳ではない

人格、倫理、論理を構築するのは自分だ
本はその目的に適いやすくはある
(文章は論理に組み込みやすいからね)けれど

唯一では絶対にありえない
『華氏451°』が馬鹿にしたものからも素晴らしいものは無数に生まれる
ありとあらゆる所に自らを作り出すものは存在する
その営みこそが哲学で
読む事なのではないのか?

と、いう事で
今こそ『華氏451度』を読むべきなのかもしれない
ただし人を苦しめる無責任の象徴として
徹底的に批判的に

『華氏451度』「知識人」こそが「昇火士」である事をむき出しにしている今
奴らに我々が抗う為に!