2018年8月23日木曜日

ヤコブによる神の儀式 その2

以後、信者のみによる儀式に移行――

司祭が香料の祈りを告げる
主なる全能、栄光の王、一切万物が創造される前にそれらの全てを知り給いし方よ、この聖なる時間に汝を呼び求める我らに汝自らを明かし給え。また我らを我らの逸脱による恥から救い給え。我らの意識と思いを不順な欲望、この世の偽り、悪魔のあらゆる権勢から清め給え。罪人である我らの手から香料を受取り給え、かつてアベル、ノア、アーロン、サムエル及び汝の全ての聖人から捧げ物を受け取ったように。我らをありとあらゆる悪魔から守り給え、我らを常に父、その独り子、汝の全く聖なる霊である、汝への喜び、崇拝、賛美に留め給え、今もいつも永遠に。

聖歌隊の長がケルビムの賛美歌を歌う
全ての滅ぶべき肉体よ、静まれ、恐れ震えて立て、地上それ自体においては何もない事を瞑想せよ――
王の王、主の主として、我らの神キリストは犠牲となり、信仰の糧として与えられる為に来たれり。天使の群れが全ての力と支配と共に彼の前に集う、数多の目を持つケルビム、六枚の羽根を背負い自らの顔を覆うセラフィムが叫ぶように賛美歌を唱える、アレルヤ、アレルヤ、アレルヤ。

司祭が聖なる1 贈物を手に、祈る――
おお神よ、我らの神、天のパンを下さった方。この食物は世界の全て、我らが主イエス・キリスト、救い主、贖い主、恩恵を施す方、我らを祝福し聖化し給う方。汝自らによりてこの贈物を祝福し、汝の天上における祭壇へと寛大によって受取り給え。
汝の善良と愛によって、贈物をした者達を、またその贈物において念じられた者達を記憶し給え。我らを汝、神の神秘なる儀式において罪に定める事なきよう保ち給え。神聖にして賛美されしは汝の全き栄光に満ちた偉大なその名、父、子、聖霊は今もいつも永遠に。

司祭
皆に平安を。

輔祭
司祭様、祝福を発して下さい。

司祭
神の祝福あれ、聖にして純粋なる神秘の現れにおいて我々を祝福し聖化し給い、聖にして正しき天から祝福された魂に安息をもたらし給う方よ、今もいつも、全く永遠に。

輔祭
叡智に目を向けましょう。

司祭が始める
私は一なる神、父なる全能、天と地の造り主を、また一つの主であるイエス・キリスト、神の子を信じる。信条への安 息において。

それから祈り、首を屈める
神にして全ての主、価値なき我々をこの時間に相応しいものとし、人類を愛し給う方。あらゆる偽りと偽善から清められる事で、我らは平和と愛の繋がりにおいて互いに結びつく。証となる聖化をもたらし給う汝の聖なる知識、汝の独り子、我らが主にして救い主イエス・キリスト、汝によって祝福され給いて、汝の全く聖なる、善き、力をもたらす霊と ともにある方よ、今もいつも永遠に、アーメン。

輔祭
背を正して立ち、うやうやしく立ち、神への畏れを以て立ち、良心への呵責を心に持ちましょう。平和と共に神に祈りましょう。

司祭
神の平和、慈悲、愛、慈愛、親愛において、汝、汝の独り子、及び汝の全く聖なる霊よ、今もいつも。

会衆
アーメン。

司祭
皆に平安を。

会衆
貴方の霊にも。

輔祭
聖なる接吻を以て互いに挨拶を交わしましょう。我らの頭を主に屈めましょう。

司祭が身を屈め、この祈りを告げる――
唯一の主にして慈悲深き神よ、汝の聖なる祭壇に頭を垂れ、汝からもたらされる魂の贈物を探し求める者に、汝の善き恵みを下し給え。我ら全てを我らから引き離せぬ霊の祝福で満たし給え。汝、天上に住む方、地上の取るに足らぬ物を見届けてくれる方よ。

(司祭)朗々と
賞賛と崇拝にふさわしく、最も壮麗なるは汝の全く聖なる御名、父と子と聖霊が、今もいつも、全く永遠に。

輔祭
司祭様、祝福を発して下さい。

司祭
主よ我らに、また我ら全てと共にいる司祭2に恵みと親愛によって祝福し給え。

繰り返し
主よ我らを祝福し給え、我らを彼の祭壇に相応しいものになし給え。いつでも、今もいつも永遠に。

繰り返し
神によって祝福され、彼の純粋に神秘なる儀式に集う我ら全てを祝福し聖化する方よ、今もいつも永遠に。

輔祭が普遍への3連祷を始める
平和の内に主に祈りましょう。

会衆
主よ、憐れみ給え。

輔祭
我らを守り給え、我らへの慈悲を以て。我らを憐れみ保ち給え、おお神よ、汝の恵みを以て。
天からの平和、神の親愛、我らの魂の救いの為に――
神に乞い願おう。
全世界の平和を、神の聖なるすべての教会の結合の為に。
神に乞い願おう。
果実をもたらす者、神の聖なる教会において立派な働きをする者の為に。貧者、寡婦、孤児、異邦人、愛を求める人を 忘れぬ者の為に。我らの祈りにおいて言及される事を望む者の為に。
神に乞い願おう。
老いて弱った者の為に。病と苦しみの内にある者の為に。不浄な霊に苦しめられ、神の速やかなる癒やしとその救いを必要とする者の為に。
神に乞い願おう。
純潔のまま生きている者、独身者、規律の内に在る者、聖なる結婚をした者の為に。また教父、及び地上における山、 洞穴、洞窟で苦行にある同胞達の為に4
神に乞い願おう。
船上の、旅をしている、異邦人の中にあるキリスト者の為に。また捕縛、亡命、監禁、辛い隷従を強いられている同胞達が平和に戻れるように。
神に乞い願おう。
罪の許し、逸脱への寛恕、あらゆる苦痛、憤怒、危険、苦難、我らの敵による反攻からの助けを。
神に乞い願おう。
順調な気候、平和の雨、恵み深き雫、豊かな収穫、善き季節の順当な区切りを。御恵みの冠を。5
神に乞い願おう。
我らの教父と同胞達が示すものを、また彼らがその聖なる時において我々のために祈る事を、いかなる季節においても、彼らの熱心さ、働き、真面目さを願おう。
神に乞い願おう。
苦難と苦痛の中にあり、神の慈悲と助けを必要としているあらゆるキリスト者の魂の為に。過ちからの帰還、病からの 健康、捕縛からの解放、既に眠った教父や同胞達の安息の為に。
神に乞い願おう。
神の御前にいる我々の祈りが耳に届き受け入れられるように、彼の豊かな慈悲と慈愛が下されるように。
神に乞い願おう。
その捧げ物が、尊く、天上の、言葉にならない、純粋で、栄光に満ちた、想像を絶する、空恐ろしい、神の贈物が、その場に立ちそれらを捧げた司祭のあがないになるように。
主である神に懇願して捧げよう。

会衆
おお主よ、憐れみ給え。

(三度)それから司祭は贈物の前で三度十字を切り、立ち上がり、一人で話し出す――
いと高き処におられる神に栄光あれ、大地に平和あれ、人々の間に善意あれ。
(三度)
主よ、汝は我が唇を開き、我が口にゆるりと汝を賛美させる。
(三度)
私の口を汝への賛美で満たさせ給え、おお主よ、汝の栄光、汝の光栄をいつの日にも伝えられるように。
(三度)
父にアーメン。子にアーメン。聖霊にアーメン。今もいつも、全く永遠に。アーメン。

こちらとあちらに身を屈め、述べる――
我と共にある神を崇める。そして共に彼の名を讃えよう。

会衆が応え、身を屈める
汝によって聖霊が来たる。その最上の力は汝をも覆うだろう

それから司祭の長口上に入る6
おお王たる主よ、慈愛と慈悲を以て我らの間に留まり、自由を以て我々に与え給いし方。汝の卑しく、罪に満ちた取る に足らない下僕が、不遜にも汝の聖なる祭壇に立ち、我らの罪と人々の過ちの為に慄きつつ血を抜いた7この犠牲を汝に奉る。汝の無価値なる下僕を見下ろし給え、そして汝の慈愛を示す為に、私の逸脱を拭い去り給え。私の唇と心を肉体と魂の汚れから清め、恥ずべき愚かな考えを私から取り除き、そして汝の全く聖なる霊の力によって私をこの儀式に相応しきものと成し給え。汝の善良による寛大を以て私を受け入れ、汝の祭壇に引き入れ給え。
その喜びを以て、おお主よ、我らの手より差し出される贈物を相応しきものとする為に、私の弱さへと寄り添い給え。私を汝の臨在より見捨てず、無価値なる私を拒まず、汝の偉大なる慈悲によって私を憐れみ給え。汝の数多き慈悲によって私の逸脱を見過ごし給え。汝の栄光の前に来たる私を罪に定めず、汝の独り子及び汝の全く聖なる霊の煌めきによる守護に相応しい存在に数え給え。私を罪の奴隷として見捨てず、汝の下僕として汝の御前に恵みと慈悲と罪の許しを見出させ給え、今この世界において、また来るべき世界において。
私は汝に祈願する、王たる全能、力強き主よ、私の祈りを聞き入れ給え。一切万物の間に働きかける汝を、我らの全てが万物に汝から来たる助けと支援を探し求める。汝の独り子、善きにして力をもたらし全く同一なる霊を、今もいつも。おお神よ、汝の独り子を世界に送り汝の偉大にして語りがたき愛を示し給うは、彼が迷える羊を呼び戻し、我らを罪人として拒まず、この慄きつつ血を抜いた犠牲を汝の物として手に入れ給うが為。我らが我ら自身の公正さではなく、汝の善き慈悲を信頼するは、汝が我らの民族8を狩り集める存在である故。
我らは汝の善良に乞い願い祈願する、我らによって執行されるこの救済の神秘において汝の民を罪に定めず、罪の許し、 肉体と魂の再生、汝の大いなる充足とならん事を。神と父、汝の慈悲と愛の内にあり汝によって祝福され給いし汝の独り子と、汝の全く聖なる善きにして力をもたらす霊と共に、今もいつも永遠に。
おお主なる神、我々を創り上げ、命をもたらし、救いの道を示し、天上における神秘の啓示をもたらし、汝の全く聖なる霊によりてこの司祭を任命し給う方よ。許し給え、おお王よ、我らが汝の新約の下僕となり、汝の純粋なる神秘の司祭となる事を。汝の聖なる祭壇に引き寄せられるかのように我らを受け入れ給え。汝の慈悲による許しによって我らを、我ら及び人々の逸脱をあがなう為の贈物と犠牲を捧げるに相応しき者となし給え。我らにお許しを、おお主よ、全くの畏れと純粋な良心を以て汝に霊に満ち血を抜いたこの犠牲を贈る事を。そしてその贈物を天上にある汝の聖にして霊に満ちた祭壇へと、甘美で霊に満ちたる匂いの香として寛大に受け取り、その応えとして汝の全く聖なる霊の恵みを我らに下し給え。
そして、おお神よ、我らをご覧じよ、我らの理にかなった儀式を見つめ、受け入れ給え。汝がアベルの贈物、ノアによる犠牲、モーセとアロンらの聖職、サムエルによる平和の願い、ダビデの後悔、ザカリヤの香料を受け入れ給うたように。汝の使徒らの手による真正な儀式を受け入れ給うたように。汝の善良によりて罪人である我らの手によるこれらの 贈物も受け入れ給え。我らによる奉献を相応しきものに、聖霊によって清められたものにし、我らの逸脱と人々の過ち のあがない、また既に眠りし魂の安息となるものとして認め給え。また卑しく、罪に満ち、無価値なる我々を、無垢に汝の聖なる祭壇に仕える者として数え、信仰に満ちた知の給仕としての報いを受け取らせ、汝の正しく善き報いが下される恐るべき日に恵みと慈悲を見出させ給え。

覆いへの祈り
我らは汝に感謝します、おお主にして神、不遜なる我らを汝の聖所の入り口に至らせ、汝のキリストの肉を隠す覆いによって我らを新しい生命の道に新生させ給う方よ。故に我らは、汝が栄光の聖櫃がある処に入り、覆いの内に入って、 諸聖の中の聖を見つめ、汝の善良の前に自らを放棄するに相応しい存在に数えられた。
主よ、我らに慈悲を下さる方。我らは汝の聖なる祭壇の前に立ち、強く畏れ震えながら、我らの罪と人々の過ちをあが なう慄きつつ血を抜いた犠牲を奉る。もたらし給え、おお主よ、汝の善き恵み、我らの魂、肉体、霊の浄化、思いの浄化を。我らが純粋な良心を以て汝に喜びの犠牲、和解の贈物を奉れるように。

(司祭)朗々と
汝によって祝福されし汝の独り子の慈悲と親愛によりて、汝の全く聖なる、善き、力をもたらす霊と共に、今もいつも。

会衆
アーメン。

司祭
皆に平安を。

輔祭
背を正して立ち、神を畏れて立ちましょう、悔恨を以て。神に平和を届けるために、聖なる交わりの儀式に意識を向けましょう。

会衆
平和の捧げ物、喜びの犠牲。

司祭(この時奉納されたパンとワインから覆いは取り除かれている)
この聖化された儀式の象徴を隠していた覆いは取り除かれ、汝はそれを明らかにした。我らの知性の視野は絶対的な光で満たされ、肉体と魂のあらゆる汚れによる貧しさは拭い去られ、この震え恐れながら近づくに値する者となった。汝 が全く慈悲に満ちた寛大な神であり給う故に、我らは喜びと感謝を天上の汝に届ける、父、子、聖霊である汝に、今もいつも永遠に。


1 「聖なる」とは言っているが、まだこの時点で捧げ物であるパンとワインは聖別されていない、これは非常に象徴的で、つまり聖別される前のパンとワインそのものが栄光あるキリストの代替になるという無知に基づく迷信が存 在していたのだ…と、原文の脚注にあります。
2 英文ではminister、ギリシャ語が分からず。「司教」かとも思ったのですが、後の箇所では明白に執行する者という文脈で使われているのでそれに倣いました。
3 英文ではuniversalですがギリシャ語はΚΑΘΟΛΙΚΗなので、カトリックという言葉の原義である普遍と訳してみました。
4(原文注)ニケア公会議以前にも苦行派が存在したのでは、とあります。
5「御恵みの冠」は詩篇65:11より。
6 英語でgreat lengthとあります。
7 英語でbloodless。「血の気がない」という意味ですが、どうやらこの犠牲を文字通りに神に捧げているようなので「血を抜いた」と訳しました。レビ記に従えば血は祭壇の周囲に撒いて神には捧げませんし、使徒言行録によればエルサレム会議でも血は避けるべきと決定されています。
8 英語でrace、ギリシャ語でもγένος なので「民族」と訳しました。この「民族」は後でもう一回使われています。

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